父と植木の剪定
子どもの頃は、植木に囲まれた生活をしていました。というのも、父親が大の植木好きで、父親の仕事が忙しい日や、私が夏休みに入ると、決まって100鉢以上ある植木の水やりが私の役目として回ってきました。その当時住んでいた家は戸建住宅で、お隣との境界は塀でしきられており、塀に沿うように、植木を置くための長い木の板が地面に対して少し空間を作った上に3段、横にも長い板が数枚連ねて平行に組まれてありました。それを設置したのは父ですが、その上に同間隔で植木鉢が置かれ、それが2階の少し広めのベランダにもギッシリと置かれていました。その植木たちに水をやるには何度も何度も水道蛇口まで置いて足を運び、ジョウロに水を汲みに行くという作業の繰り返しでした。でも、私はその作業が嫌いではありませんでした。まずは一階にあたる場所に置かれた植木たちに土の部分にポイントをおき、やりすぎないよう気をつけながら適量のお水をあげました。まだ背の低かった私は3段目がどうしても届きにくく、背伸びしてやっと植木鉢にかかるかかからないかぐらいを必死でジョウロのシャワーを利用したコツをつかみ、上下に揺さぶる感じでかけていました。そして、なんとかかけ終わると、今度は2階のベランダに置かれた植木たちにお水をあげに行きます。鉄の階段を登りきると今度は私の背より低く置かれた植木たちが、よく日の当たる場所だったこともあり、待ってましたと言わんばかりに私を歓迎してくれているようにも思えてました。私の方も水が土にしみこんでいく感触といいますか、そういう瞬間にとても癒されていたように思います。少し危なっかしい鉄の階段を何度か往復して水をやり終えた後の達成感はとても満足のいくものでした。今から思うと、そういう役目を私に与えてくれた父に感謝の気持ちでいっぱいです。小さな達成感の積み重ねは私にとっては宝物です。自然と触れあえる喜びをそういうところで味わってきたことで感性が豊かになったと実感しています。そんな父も今は70歳をこえましたが、若い頃からの植木という趣味を何十年も続けてきたことで、定年退職をきっかけに植木から少し幅を広げ、剪定のお仕事として活躍できるようになりました。2018年の酷暑と言われる夏もかなり暑かったですが、趣味にかける情熱の方が熱いようで、元気に頑張っていました。これからもそんな父を応援していきたいと思います。何事も続けていけば、プロになれるものですね。
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